こまばアゴラ劇場で五 反田団の「いやむしろわすれて草」を観てきた。五 反田団を観るのは初めてで、いつも劇場でチラシをもらうたびにこの素敵なタイトルに相反する汚い字(チラシの説明書きがすべて手書き)は何ごとだろうと気になっていた。前回の「さようなら僕の小さな名声」というこれまた素晴らしいタイトルの舞台を見逃していたのもあって今回はギリギリだったがなんとか観ることができて良かった。

■果たして舞台はとても良かった。日常にありふれた言葉をつなぐ遊びのようにみんなで会話を転がして盛り上げていくところ。それがたいへん詩的に映った。あと主演の女性の顔(表情)がとても良かった。迫力のある顔、今でもくっきりと蘇る存在感がある。
帰りに作・演出の前田 司郎さんの本を買って帰る。今日はお給料日だったのでさらに寄り道をし、東北沢の現代ハイツで夕食を取り、買ったばかりの本を読んでいた。平和の象徴は鳩ではなく、夕日の差し込む山手線の車内にあるんだろう、とか考えている軟派な若者。なんだよそれ、と思いながらも若さ故の甘えや衝動や弱さに焦れてしまう。しかしラストは再び「なんだよそれ」のまま終わってしまった。
もう今さらでもないけれど、頭の中にストーリーが組み立てられる人っていいな。いいな、すごく羨ましい。
だから時々、おもしろいストーリーに出会えた時には、せめてその中で遊ばせてくれと私の中のピーターパンが言っております。